雨音マリのブログ(仮)

東京で会社員をしています。興味があることや、日々感じたことなどについて書いていきます。

アナ雪「生まれてはじめて」が大好きな理由を語ります。ホ短調とト長調の関係について。

「生まれてはじめて」の好きなところを語りたいと思います。主に「調」について。私はこの「調」について考えるのが好きで、というか、何を聞いても何故かこればっかり考えてしまうのです。抗えない魅力がここにある!!音楽理論とか全然わからないという方にも是非聞いていただきたいです。私も正直全然勉強してないのでよくわかっていません。でも素晴らしいものは素晴らしいんです。

お姉さんの戴冠式の朝、妹のアナがはしゃぎながら歌う導入部はファを主音にしたヘ長調です。個人的に、ヘ長調はのどかで単純であたたかみがあって牧歌的…というイメージ。悪い言葉を使えば「ちょっとバカっぽい」とも表現できます。アナは寝癖で頭が爆発してますしね。最近ヘ長調で有名だったのは「ようこそジャパリパークへ」が記憶に新しいでしょうか。まさにぴったりですね。

一通りはしゃいだアナは、戴冠式でたくさんの人に会えば運命の人にも会えるかも、と思い立ちます。すると調性も半音上がり、嬰ヘ長調に。気持ちが高まって背伸びした想像をするアナの気持ちを表すように、黒鍵を5つも使うきらびやかで華やかな調です。

次にお姉さんのエルサのパート。さっきの嬰ヘ長調はシャープ(#)の調でしたが、こちらは変ホ長調で、フラット(♭)3つの調。シャープはクリスタルに反射するキラキラしたまっすぐな光のような響きですが、フラットの音には少し曇ったステンドグラス越しの光のような落ち着きがあります。両親が亡くなってしまい、自分の秘密を誰にも明かすことができないまま閉じこもっていたエルサ。ついに今日は大勢の人の前に出なければいけない。直前のアナのパートと比べて随分影がある感じです。

そして「開くのだ門を、今」。この曲のクライマックスでト長調になります。私は個人的にト長調を神聖視していて、すべての調性の中で最も汚れを知らない神聖な調だと思っています。「ソーは青い空〜」の刷り込みかもしれませんが、まさに澄み渡る青い空のイメージ。何も不安なんてない、ただただ澄んだ明るい音色です。ト長調はシャープ1個の調で、シャープが十字架に見えるということでキリスト教の教会音楽にもよく用いられらしいです。高校の音楽の先生が言っていました。ついに重たいドアが開き、光あふれる外へ駆け出していくアナの明るい表情。この映像でト長調への変調。私は好きすぎてここだけも泣けます。

明るい光の中のアナと、暗い表情のエルサ。別の場所にいる二人の掛け合い部分ですが、アナのパートはト長調、エルサのパートはホ短調とも解釈できると思うんです。そう解釈するのが断然好みなので、私はそうします。ト長調ホ短調はどちらもファ#だけが黒鍵、他は白鍵で弾くことができるのですが、このように同じ調号を持つ長調短調のペアのことを平行調と言います。平行調ってめちゃめちゃ素晴らしい。すべての調に、平行調のペアが存在します。もし調の擬人化漫画なんていうものがはじまったら、全オタクの皆さんは平行調の魅力に取り憑かれると断言します。

たくさんの人に出会える希望を歌うアナと、「ひとりでいたいのに」「誰にも会いたくない」と歌うエルサ。何も知らない妹と、一人で秘密を抱えた姉。汚れを知らないト長調と、同じ調号を持ちながら暗い響きのホ短調。ディズニーありがとう。本当にありがとう。ありがとう。